VPP事業構想 / 経営メンバー向け解説
HACHIDORI SOLAR
Virtual Power Plant
発電設備を、アセットにアップデートする
各家庭の太陽光・蓄電池を束ね、1つの発電所のように動かして収益化する——VPP事業の全体像と、ハチドリの挑み方を整理した資料です。
01VPPとは何か・なぜ市場ポテンシャルがあるのか
02どんな市場で・どう稼ぐのか(各市場の特性)
03ハチドリがどう挑み・いくら稼げるのか(FY26–30)
Primer 01 / What is VPP
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VPPとは何か/なぜ今か
VPP=Virtual Power Plant(仮想発電所)。バラバラの小さな電源を通信で束ね、1つの発電所のように動かす仕組み。
◇VPPとは
- 各家庭の太陽光・蓄電池・EVを通信で束ね、遠隔制御して1つの発電所のように動かす
- バラバラの小さな電源が、まとまって“電力インフラ”になる
- カギは「束ねる(アグリゲート)」×「制御(i-Power Engine)」
◷なぜ今か
- 電力システムが「大規模・集中・一方通行」→「分散・双方向」へ転換(震災2011+FIT2012が契機)
- 住宅太陽光・蓄電池が普及し、束ねる原資が揃ってきた
- 2026年、住宅リソースの電力市場参加が制度解禁
発電設備を「設置して終わり」から「運用して稼ぎ続ける」へ ─ これがVPPの本質
Primer 02 / The 4 Markets
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VPPの収益源|4つの価値・4市場とその特性
電気の4つの価値をそれぞれの市場で売る。1つの発電設備から重ね取り(バリュースタッキング)できるのが旨味。各市場の特性はこの1枚で。
容量市場
kW|供給力
- 「いざ出せる備え」を売る
- 契約kW × 年額で稼ぐ
- 収入が読みやすい/価格は年変動
住宅→下げDRで参加・1MW〜
需給調整市場
ΔkW|調整力
- 需給のズレを埋める調整力
- ΔkW × 時間 + 電力量で稼ぐ
- 蓄電池の“速さ”が武器
住宅→三次②(応動60分)・1MW〜
卸電力 JEPX
kWh|電力量
- 電力量そのものを売買
- 安く貯め高く売る(時間差)
- 昼安・夕高 15〜25円/kWh
FIT不可・非FIT/卒FIT・AC経由
環境価値
Jクレジット/証書
- CO2削減・再エネの価値
- 自家消費→Jクレ/卒FIT→証書
- 再エネJクレ〜6,000円/t-CO2
自家消費JクレはFITでも今すぐ
4市場とも1MW以上に束ねるのが参加条件
重ね取り × 台数で積み上がるストック収益
Primer 03 / Business Potential
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VPPのビジネスポテンシャル|フロー → ストック
VPPの本当の価値は、収益構造を「売って終わり」から「運用して稼ぎ続ける」へ変えること。
これまで(フロー型)
設置して終わり
- 1回売ったら収益が終わる
- 価格競争・広告費の消耗戦になりがち
→
これから(ストック型)
運用して稼ぎ続ける
- 台数が増えるほど積み上がる(限界費用ほぼ0=SaaS的)
- 設置1軒が10年以上“発電所”として稼ぐ
市場規模:住宅太陽光の先にある蓄電池・HEMS・VPP・電力運用を含むエネルギー関連は年約40兆円。「太陽光を売る」から「運用する企業が握る」時代へ。
⚠️ 冷静な視点:公的データと業界推計は桁違い。数字は保守的に置く。だがストック構造の価値は本物
Primer 04 / Why Hachidori
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なぜ、ハチドリが挑むのか|住宅起点の必然
VPPは「束ねる母数」と「制御」を持つ者が勝つ。ハチドリは両方を住宅事業で既に持っている。
母母数
- 0円ソーラーで全国の住宅に発電設備を普及済み
- =束ねる原資(VPPの規模)を持つ
制制御
- i-Power Engineで各家庭を遠隔制御
- =分散電源化するOSを自社開発
接需要家接点
- 住宅事業=需要家と直接つながるRAが本業
- =アグリゲーターの土台を保有
挑み方=①既存FITは今すぐJクレジット ②新規は非FITでフル価値 ③卒FITを取り込む → FY30に2.0億
詳細は次ページ以降 ▶
05 Growth Plan / VPP Commercialization
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VPP事業化 3ステップ
VPPは新規事業ではなく、住宅フロー事業の必然的な出口。0円ソーラーで積んだ設置ストックを「i-Power Engine」で束ね市場に売る。FY28で初収益、FY29からストック成長ドライバーへ。
01仕込みFY2026–2027
収益基盤の確立 → 多角化加速
発電設備を積み、制御データを貯める
- 太陽光+蓄電池セットで設置ストックを積む(累計 1,862→2,424戸)
- i-Power Engine βで自家消費最適化 × JEPX連動制御、制御データ蓄積
- Jクレジット/環境価値のDX収益を先行着火
- ★RA選定・同意UI準備 / ★SII登録・計量認証
GoalVPPの“発電設備”と制御基盤を確保
02実証・初収益FY2028
マルチマネタイズ
束ねて、市場から初収益
- 特定卸供給事業者の届出(AC化)or 大手ACに乗る
- 蓄電池群のフリート制御を確立 — 独自LTEで応答要件クリア
- JR西・自治体エリアでクラスター化(累計 3,273戸)
- ★容量市場 初収益 — VPPが初めて売上化
Goal市場から実収益を取れる状態へ
03本格収益化FY2029–2030
VPP拡張 → 本格収益化
全台に価値を重ね取り
- kW+ΔkW+kWh+環境価値のバリュースタッキング
- 全国VPPネットワーク/報酬還元ループでLTV向上
- VPP売上 0.5億→2.0億(4倍)、累計 4,483→6,053戸
- ★需給調整参入(三次②+DR) / ★フル稼働・AC昇格
Goal消えないストック収益が積み上がる
| VPP関連トラジェクトリ | FY2026 | FY2027 | FY2028 | FY2029 | FY2030 |
| VPP・容量市場 売上(億円) | — | — | 初収益 | 0.5 | 2.0 |
| 累計設置件数(戸) | 1,862 | 2,424 | 3,273 | 4,483 | 6,053 |
| 売上合計(億円)/ 営業利益率 | 7.7 / 3.9% | 13.1 / 8.5% | 20.4 / 9.8% | 29.2 / 10.5% | 38.0 / 11.0% |
05 Growth Plan / VPP Business Plan Map
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VPP事業計画マップ|需要家 × 収益 × FY26–30
需要家を既存FIT普及と非FIT新サービス(FY27開始)で分け、収益構成・マイルストーンと同一時間軸で統合。戸数=制御可能・累計/収益=万円·年グロス試算
| 区分 |
FY2026 | FY2027 | FY2028 | FY2029 | FY2030 |
| 需要家数(制御可能・累計戸数) |
| 既存顧客(FIT普及) |
300 | 500 | 700 | 900 | 1,000 |
| 新サービス(非FIT・FY27〜) |
— | 200 | 600 | 1,700 | 3,000 |
| 合計戸数 |
300 | 700 | 1,300 | 2,600 | 4,000 |
| VPP収益(万円/年・グロス試算) |
| ① Jクレジット(自家消費・FIT可) |
150 | 350 | 650 | 1,300 | 2,000 |
| ② 下げDR(容量市場・FIT可) |
— | — | 400 | 1,500 | 4,000 |
| ③ 容量市場(フル放電・非FIT) |
— | — | — | 1,000 | 6,000 |
| ④ 需給調整市場(三次②・非FIT) |
— | — | — | 1,200 | 6,000 |
| ⑤ JEPXアービトラージ(非FIT) |
— | — | — | — | 2,000 |
| ⑥ 非化石証書(卒FIT) |
— | — | — | — | 300 |
| VPP収益 合計(億円) |
0.02 | 0.04 | 0.11 | 0.50 | 2.03 |
| マイルストーン |
Jクレ着火・RA選定 |
★非FIT新サービス開始 |
★1MW到達・容量市場初収益 |
需給調整参入(三次②) |
AC昇格・フルスタッキング |
05 Growth Plan / Becoming an Aggregator
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アグリゲーター化|準備の全体像
「アグリゲーター」の正体は電気事業法上の特定卸供給事業者。市場と直接取引する“AC”になるにはこの届出が必須(=届出制。許可制より障壁は低い)。1社でAC兼RA可能。
PHASE 1 | 今すぐ・ライセンス不要
RAとして参入
既存ACに乗り、母数(設置台数)と制御実績を積む。届出なしで先行できる。
→
PHASE 2 | FY2028〜
AC兼RAへ(届出)
特定卸供給事業者を届出。市場に直接アクセスし、アグリゲーターマージンを自社化。
分岐点=特定卸供給事業者の届出(供給能力1MW超・経産大臣・開始30日前)。RAだけなら不要、市場直接取引には必須。
①制度・ライセンス
- 特定卸供給事業の届出 経産大臣/1MW超/30日前
- まずRA止まりはライセンス不要で先行 自社判断
②計量
- 特定計量制度の事前届出=機器計量値を検定なしで取引に 経産大臣
- 15項目説明・台帳2年保存/JEM整合 自社・メーカー
③技術・制御
- 遠隔監視+下げDR遠隔制御/サイバーSEC準拠
- 簡易指令接続(三次②は専用線不要)属地TSO
④需要家契約
- DR契約ひな型(制御権・対価・責任分界点)CLO
- 計量・個人情報の同意(オプトイン)
⑤運用・組織
- 需給管理・入札運用(前日11:30–14:00)
- 純資産1,000万円以上/実効性テスト対応 CFO
⑥市場参入登録
- OCCTO会員・事業者コード取得(年1万円)
- 需給調整=取引会員審査+プレクオリ実働試験 TSO
特定計量制度=住宅VPP成立の前提(機器計量値を検定なしで取引)
入口は三次調整力②(応動60分・簡易指令OK・1MWに束ねる)
05 Growth Plan / VPP Market Map
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VPP市場マップ|どの棟を → どの市場 → いくら
住宅DERが売れる4市場。自家消費分のJクレジットはFIT接続でも今すぐ可(⭕)。一方JEPX・容量/需給調整のフル価値はFIT電気を売れず、蓄電池の非FIT運用 or 卒FIT/自家消費型が入場条件。
| 市場 |
価値 |
最低規模 |
必要な棟の条件(FIT可否) |
価格水準 |
1戸/年の目安 |
容量市場 発動指令電源 |
kW 供給力 |
1MW〜 ≒200-300戸 |
蓄電池放電 or 下げDR(非FIT運用)FIT発電× |
FY29 約1.5万円/kW 年度変動大 |
〜3万円 2kW,グロス |
需給調整市場 三次調整力② |
ΔkW+kWh 調整力 |
1MW〜 |
蓄電池・応動60分・簡易指令(低圧は26年度〜)FIT× |
3.30円/ΔkW·30分 FY24平均 |
数千円 戸別非開示 |
JEPX アービトラージ |
kWh 電力量 |
実務は 束ねる |
蓄電池・売る電気が非FIT/卒FITFIT電気× |
スプレッド 15〜25円/kWh |
自家消費 最適化と別 |
環境価値 Jクレジット/証書 |
環境価値 |
束ねれば 規模不問 |
自家消費→Jクレ/卒FIT売電→証書自家消費○ FITでも今すぐ余剰売電× |
Jクレ〜6千円/t ≒2円/kWh |
実例1,200円 ニチコン |
狙う順番
① 環境価値(今すぐ)
→
② DR補助金60万で発電設備を積む
→
③ 200-300戸で容量/需給調整
→
④ 卒FITでJEPX/証書
2026年の実メリットは市場収益より DR補助金60万円/戸(VPP参加が受給条件)
容量市場はFY28-29に高値回復=ハチドリのVPP本格化と重なる追い風
05 Growth Plan / Model Transition
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非FITの発電設備を、どう集めるか|モデル転換
③④⑤⑥(市場フル価値)には非FIT/卒FITの発電設備が必要。集める道は3つ。本命は住宅事業をFIT余剰売電 → 自家消費最大化+VPPへ転換すること。
A非FIT/自家消費型で新規獲得◎ 王道
- FITを使わず設置。余剰・蓄電池が非FIT=逆潮流で市場に出せる
- 能動的に発電設備を増やせる(時間待ち不要)
開く → ③④⑤+環境価値
B卒FIT世帯を取り込む/待つ○
- FIT10年終了で全部非FIT化。既存顧客は2032年〜
- 市場の卒FIT世帯(2019年〜大量)は今すぐ獲得可
開く → ③④⑤+⑥(非化石証書は卒FIT必須)
C既存FITの蓄電池を系統充電運用△ 限定
- FITのまま系統充電の非FIT電気を放電(区分計量必須)
- 往復ロス・電池劣化で経済性は限定的
開く → ⑤・④に部分参加
現状モデル
FIT余剰売電
- 余剰を約16円/kWhで10年売電
- 市場フル価値(③④⑤⑥)は出せない
→
転換後モデル
自家消費最大化+VPP
- 買電回避(約30円/kWh)+VPP収益還元
- Jクレジット+環境価値+市場フル価値が開く
買電30円 > FIT売電16円 — 自家消費率が高ければ非FITの方が顧客経済性は良くなり得る。既存TED(Total Energy Design)「売電ツールでなくエネルギーデザインを届ける」思想の延長線上。
⚠️ CFO+商品設計の論点:FIT売電収入を外した0円ソーラーのリース/PPA設計・顧客への見せ方を再設計
05 Growth Plan / Unit Economics
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非FIT転換の収益図解|顧客30%還元ケース
前提:5kW/10kWh/消費450kWh・月。非FITで生まれる新収益プールを顧客に30%還元しても、顧客は得・会社もマージン確保。
顧客の年間便益損しない
自家消費(買電30円/kWh回避)
余剰売電(FIT16円/非FIT9円)
30%還元(VPP+Jクレジット)
顧客の得 +6,000円/年 = 10年で +6万円(電気だけでほぼ互角+還元が純増)
会社の新収益プールと30%還元FITでは 0
収益プール
Jクレジット 9,000円
VPP市場 6,000円
1.5万/戸
↓ 30%を顧客へ還元
分配
顧客還元 30%|4,500円
会社 70%|10,500円
1.5万/戸
会社取り分 10,500円/戸・年(グロス)→ 3,000戸で年3,150万円の新規収益。FITモデルではこの収益はゼロ = 転換は会社の新規収益源そのもの。
05 Growth Plan / Strategy Axes
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今後の戦略軸|3つの顧客セグメント
FITの状態が違う3セグメントを、それぞれ別サービスで"制御可能な発電設備"に変え、すべて i-Power Engine で束ねてVPP収益化する。
1既存顧客(FIT活用)今すぐ
- 手段:Jクレジット(自家消費)+下げDR
- FITのまま収益化。薄いが即着火・追加投資ほぼ不要
収益 → Jクレジット+下げDR
2新規顧客(FIT非活用)FY27-28
- 手段:自家消費型+蓄電池+VPP契約前提の新商品
- 顧客経済性は互角+還元で得(P.11)。フル価値の発電設備
収益 → ③④⑤フル+Jクレジット
3卒FITユーザーFY28-29
- 手段:蓄電池後付け+VPP参入サービス
- 全部非FIT化。2019年〜大量発生を獲得(ヒグマパンチ)
収益 → ③④⑤⑥フル+非化石証書
3セグメントで制御可能な発電設備を積み、すべてi-Power Engineで束ねて1MW→VPP収益化
FIT制約に応じてサービスを作り分けるのが戦略の核
05 Growth Plan / Execution Roadmap
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実行ロードマップ|いつまでに何を
3セグメント × 制度 × 市場収益を、FY2026–2030の時間軸に落とす。★=必達マイルストーン。
FY2026
FY2027
FY2028
FY2029見込み
FY2030見込み
制度・ライセンス
★Jクレ登録・RA・特定計量/SII
★特定卸供給届出(AC)→需給調整→AC昇格
① 既存FIT収益化
Jクレジット 今すぐ着火・拡大
+下げDR 上乗せ
② 新規 非FIT商品
③ 卒FITサービス
市場収益
★容量市場 初収益
需給調整 0.5億
フル 2.0億
Critical Path
Jクレジット着火(今すぐ)
→
非FIT商品ローンチ+発電設備積み
→
1MW到達・特定卸供給届出(FY28)
→
市場フルスタッキング(FY30・2.0億)